とても好きな漫画に「バーテンダー」というのがありまして、何度も、何度も、何度も読み返しました。
2011年ごろ実写ドラマ化されたのもかなり良かったです。今回はこのバーテンダーの7巻に出てくるエピソードにインスパイアされて筆を取っています。

無精髭のワイルドな風貌で、言葉遣いも態度も一見ぶっきらぼうな先輩バーテンダーが、主人公の苦悩を察知して対応。

「ウイスキーをロック・・・ダブルでお願いします」

というオーダー、その後の受け答え、ちょっとした仕草からなど気付きを得たのでしょうか。
そして、同業者に対しては面倒臭いオーダーを避けるという乙な流儀がこの漫画の世界の一部にはまかり通っているようですが、先輩に遠慮するなサイドカーを飲めと言って作り始めます。
気分によってはこの冒頭の入店からオーダーまでの流れだけでも泣きそうになる。

そして先輩は必要な酒を揃えながら

「サイドカーはどっちから走ってきたと思う?」

という質問を主人公に投げかけます。主人公は

「ベースがブランデーなのでフランスと考えるのが自然」

と回答。先輩は

「ドイツから走ってきたとは思わないか」

と返します。

―中略―

「悩んだらいつでも来い」

実はこのどうでも良いようなやり取りの1つ1つに、後輩の苦悩に対する先輩バーテンダーの心遣い、優しさが込められているのでぜひ漫画バーテンダーを読んでいただきたいです。

この「神保町とカレーと写真集」も4回目。しばしばアーティストやタレントを「迷走する」などと言って揶揄することがありますが、とても残酷です。敬愛する元FIELD OF VIEWの浅岡雄也さんなどは一発屋などと言われると、
「ゼロ発屋に言われても・・・」と返すそうで、実にカッコイイ!(どう考えてもみんながソラで歌えるようなヒットを何作も飛ばしてるのでそれ自体が感情先行型で的外れな発言ですが)

私に至ってはゼロ発屋ですらなくマイナス発屋、人生において迷走していなかったことが無く、「曲いいね!」「DJいいね!」「tracktop girl(ジャージ姿の女性の写真サイト)いいね!」と言われても、それは酩酊状態でマラソンをしていて車道や歩道、川などの進路を進みつつ、たまたま正規のルートをカスっているまさにその一瞬を運良く目撃していただいたような状態なので、これはもうそのスカイフィッシュやフライングヒューマノイドを目撃している方が偉大且つ面白いのであって自分自身は何もやっていない、凄くもなんともないということばかり日々痛感するわけです。

ここまで読んで、おかしいぞ?いくらなんでも前置きが長過ぎる、カレーも写真集も出て来ない。それはお前のブログでやれ、という感想を持った方はとても正しいです。今、長々と言い訳を書いているわけです、バーテンダーのくだりからずっと。私の酒の知識なんて全部漫画バーテンダーですよ。あの漫画が嘘だったら私も嘘、一蓮托生。

神保町にある「立川マシマシ」という店に行きました。
そこでマシライスというものを頼んだのです。看板に「カレーうどんとマシライス」って書いてあるから、まあカレーうどんならこの連載の対象になるかなと思って店に入ったわけですが、券売機のどこを探しても「カレーうどん」が無いんですね。
困った。かと言って券売機の前でひとしきり悩んだポージングをかましてから何事も無かったかのように店を出るなんて、何も盗ってないけど万引き・食い逃げのような気分になってしまう!
でもね、このビジュアル。カレーに見えなくもない。

「インドから走ってきたとは思わないか」

そういう質問を投げかけることも出来るのではないかと思います。だってこれ、給食とか、学食の、ステンレスの食器に入れられたあれじゃないですか。大衆食堂とかでおばちゃんが勝手に大盛りにしてくるあれ。味は全然カレーじゃなかった。甘辛い(結構辛い)そぼろ炒めみたいなのと暴力的な量のライス、以上。
ビジュアルから想像付く感じを全然裏切らない良さがあります。個人的にはこういうの大好きなのでまたお世話になることでしょう。

ブログで自転車シェアリングにハマっていることを書いたら結構好評だったものの、六本木エリアあたりはバッテリー残量ゼロトラブルに見舞われて良いことばかりじゃないなと痛感しました。
立川マシマシでのんびり暴力的な量のライスと向き合っていたらもういい時間、神保町と秋葉原の夜は早い。
書店がどんどん閉まってゆくではないですか!ということで、写真集の在庫数がGOODなお店の新規開拓をしている余裕などなく、連載第1回でもお邪魔した荒魂(ARATAMA)書店さんへ飛び込む。なんか閉めようとしてたかも・・・ゴメンヤサイ。


2000年11月16日第1刷発行
購入価格¥500(定価¥2,000)

神様というものは非情、残酷です。荒ぶる魂で閉店作業が着々と進められているなか悠々とどの写真集が良いかな~なんてムーヴを決められるわけないです。無言の圧力ならぬ鼻息の圧力が聞こえてくるようです。
マシライスではちきれんばかりの腹部を押さえながら店員さん達の視線(死線)を掻い潜り、24ジャックバウアーさながら時間もないし見覚えがある背表紙にしちゃえば良いやと手にしたのはまさかの「ちんかめ」。

“おしゃれなヌード「ちんかめ」 おしゃれでエロい。「SMART」の人気連載が一冊に凝縮!モデルからAV女優まで、登場モデル総勢45人。未公開フォト満載!”

2000年発行ですよ。私そのころ20歳。あの頃も、今も、ちんかめを見て特別に何がどうということは無いです。エロとファッションの共存というよりは

ファッション >>> エロ

な比重を見出します。でもこういうものは時代にとっても自分にとっても過程として確実に必要だったのではないかと考えます。

私が主催しているtracktop girlというウェブサイトはジャージを着用した女性が主役なので、身体の大半を布が覆い、所謂「ストレートなエロ」は期待できないしさせないというある種の安全弁の存在が前提になっている企画です。
しかしながら、スポーツ、それに必要なスポーツウェアがもたらす機能美とボディラインの明確化は、対象が男女別け隔てなくむしろそれこそを「ストレートなエロ」と見出すことも出来ます。
あまり宣伝に繋がるような感じにしたくないのでこの辺にしておきますが、撮影のなかで、元々ジャージを着た女の子が好きだから興奮して最高!ということより(もちろんそれもある)、好きなアイドルと向き合っているときと同じあの感じ、ああ、美しいな、という率直な心の動き。
こういったことを具現化出来て幸せである、というような多幸感に支配されることの方が大きいです。

恐らく、売れ線ファッション誌の方は、こういう没入しちゃう感じが主軸になってはいけない。コンセプトやスタイル、在り方をきちんと提示し続けて「おしゃれだね」「ヌケそうでヌケないね」という声を沢山集めなくてはならない。でも、18年前のものだからかどうかはさておき、あの頃敬遠していた「ちんかめ」またはそのような存在を、先程は「特別に何がどうということは無い」と書いたけれども一方で素直に良いと思えるようになった自分がいることに驚きます。とても美しいし、清潔感があると思います。

濡れていても、淫らに身体に牛乳をこぼしていても、汚くない。
陰鬱さやアングラ感を努めて隠蔽しようというような必死さや開き直ったパリピ感も無く、ただただ美しいように思う。少し静寂に。第一線のセクシーアイドルやグラビアアイドル、モデルの皆さん方が渡った修羅場、その経験が、むしろ観る者に余裕や弛緩を与えてくれているような・・・いかんいかん、これは私が好きなアイドルを崇めてしまうときのパターンです。(食べログレビュー風を目指しました)

ちんかめの読書感想文として、綺麗にスマートぶってまとめようなんて思ってません。ああ、こんな人も出ていたっけ、という懐かしみも含めて個人的なキーワード、これは個人的なキーワードです。極めて個人的なキーワードを書いておきます。

森下くるみ、永井流奈、川島和津実、夕樹舞子、今宿麻美・・・

セクシーアイドルも、肩書としてはセクシーが付かない方にも、実に今まで多くの女性に支えられてこの命はあるのだなということを再認識したのでした。これではあまりにお後がよろしくないので、インスパイアを受けた漫画バーテンダーを振り返ってみましょう。

「フランスから走ってきたか、ドイツから走ってきたか。インドから(以下略」

これを曲解すると、音楽における

「テクノか、ハウスか」

にも繋がってくるわけです。曲解すると。

「デトロイトから走ってきたか、シカゴから走ってきたか」

この曲ってテクノなの?テクノポップだよね?ハウスだよね、四つ打だよね、人類はあまりに雑なカテゴライズをそのまま放置して今まで生きてきてしまったような気がしますし、その雑の膿こそが私という存在です(~~テクノとか~~ハウス、とかあんまり知らない)。

それなのにある時期、私は知り合いに、人間にテクノらしさやハウスらしさを感じそれをその人の尺度としてラベリングしてみたい、と言って無視されたことがあります。幾度か。

時を経てちんかめを読み、個人的なキーワードをピックアップし、終わらせるわけにはいかない。テクノとハウスに喩えさせてください!エリカが喩えてあげる!

森下くるみ:アシッドテクノ
永井流奈:ブラジリアンハウス
川島和津実:ミニマルテクノ
夕樹舞子:フィルターハウス
今宿麻美:ディープハウス

違う、わかってない、ということがあれば、それはあなたなりの見解を示していただきたいです。
DJを始めた20歳の頃、私がアラフォーになって、公共の自転車をレンタルして神保町に向かい、体育会系の学生が競って食べそうなマシライスというおぞましい食べ物を勇んでいただき、古本屋でちんかめを買い、モデルをハウスだのテクノだのに喩えて深夜2時にテキストを書いてるなんて想像もつきませんでしたよ!
泣きたい。泣いてる。大石理乃さんの新曲があまりに素晴らしい。ちなみに今ハマっているのはタピオカミルクティーです。